【3月18日 AFP】ギリシャ政府は17日、アレクシス・ツィプラス(Alexis Tsipras)首相が4月8日にロシアを訪問すると発表した。一方でツィプラス首相は、デフォルト(債務不履行)の恐れの再燃を招いた改革をめぐる交渉行き詰まりの打破を目指し、欧州首脳らとの協議も模索している。

 同首相率いる急進左派政府は、ロシアの第2次世界大戦の戦勝記念日(Victory Day)に合わせてすでに5月に訪露することが決まっていたツィプラス首相が、来月8日にもモスクワ(Moscow)を訪れることになり、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談すると発表した。

 ある政府筋によると、「首相はウラジーミル・プーチン大統領からの招待を受けてクレムリン(Kremlin)を訪問することになった」と明かしたが、なぜ首脳会談が前倒しされることになったのかという理由については言明しなかった。

 元共産党員のツィプラス首相は、ウクライナ危機をめぐりロシアと欧州連合(EU)が衝突している時にあっても、ロシアとの緊密な関係づくりを模索する姿勢を隠していない。

 またギリシャ政府関係者の多くも、EUとの債務交渉が決裂するようなことがあれば、ロシアや中国に金融支援を求めていく可能性もあり得ると公言している。

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるギリシャがロシアに近付くことについてはEU内に懸念も広がっている。欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)議長も懸念を示している一人だ。

 ポーランドの前首相でもあるトゥスク議長は今週行われた欧州6紙のインタビューで、「ギリシャ抜きの欧州が想像できるだろうか?」と問い掛け、「欧州にとってその影響は金融問題にとどまらず、EU史上最大の激動の時期をもたらしかねない」と警鐘を鳴らした。(c)AFP/John HADOULIS