【3月17日 AFP】米フロリダ(Florida)州に生息するマナティーの年次個体数調査を行っている同州の魚類・野生生物保存委員会(Florida Fish and Wildlife Conservation CommissionFWC)は16日、今年の個体数が過去最高となる6000頭に達したと発表した。長年にわたる海洋哺乳類保護の取り組みが数字になって表れた形だ。

 FWC当局者らによると、今年のマナティー個体数計測結果は、これまでの最高だった2010年より約1000頭増加したという。FWCのリチャード・コルベット(Richard Corbett)委員長は「今年の個体数は、長期にわたる保護の取り組みが奏功していることを示している」と語った。

 FWCの調査部門を統括するジル・マクレー(Gil McRae)氏は、2013年に起きた大規模な大量死事象で800頭以上が死んだにもかかわらず、マナティーの個体数が顕著な伸びをみせていることを示す最新のデータに、フロリダの環境保護論者らは大いに励まされていると話す。

 フロリダ州固有の海生動物で、同州全域に生息しているマナティーは、1893年より同州の保護動物に指定されている上、米連邦政府の「絶滅の危機に瀕(ひん)する種の保存に関する法律(Endangered Species Act)」の対象になっている。

 冬の数か月間、マナティーは水温の高い場所に移動し、春になると元の場所に戻ってくる。この帰還行動によって研究者らは、マナティーの健康状態と個体数を調査する理想的な機会が得られるという。

 当局者らによると、体長3メートル、体重500キロに及ぶこの大型動物は、都市化や水質汚染に起因する生息地喪失によって危機に直面しているばかりか、船との衝突でしばしば負傷したり、命を落としたりする。(c)AFP