休眠中の彗星探査機「フィラエ」と通信再開目指す、欧州宇宙機関
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【3月12日 AFP】昨年11月12日に67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)に着陸後、電池切れで休眠状態に入った実験機「フィラエ(Philae)」の地上管制チームは、12日に同機との通信を試みる予定という。欧州宇宙機関(ESA)が11日に発表した。
重量100キロのフィラエは10年の旅路の末、母船ロゼッタ(Rosetta)から切り離され、宇宙空間を太陽方向に高速で移動している67P彗星に着陸した。
だが着陸は、予定通りには進まなかった。フィラエは固く凍った彗星表面で2回バウンドし、崖の陰に傾いた状態でようやく止まった。
フィラエに搭載されたバッテリーには、各種実験を60時間行えるたけの電力が蓄えられていた。同機はこの電力が尽きるまでに膨大な量の貴重なデータを地球に送信した後、休眠状態に入った。
67Pが太陽に近づき、光の当たる状態が改善されることで、太陽電池バッテリーが再充電され、フィラエが休眠から目覚めることが期待されている。
ESA宇宙探査機運用部門の広報担当、ダニエル・スクカ(Daniel Scuka)氏は、AFPの取材に「われわれは12日、ロゼッタに搭載された電波受信器のスイッチを入れる予定だ。この無線装置で、フィラエとの通信を行う」と語った。
電波受信器はグリニッジ標準時(GMT)12日午前1時(日本時間同日午前10時)に起動させる予定で、最初の通信はその約3時間後に開始されるはずという。だが、クスカ氏によると「すぐに何かが受信されるとみている人は誰もいない」という。
通信チャンネルは、3月20日までの8日間開放される予定。理論上、これは最適の期間となる。ロゼッタは彗星表面に近い絶好の軌道にある上、フィラエが再充電可能となるはずの範囲にまで太陽に接近するからだ。
現在のフィラエの状況についてクスカ氏は、11月に着陸した時点で同機に届いていた量の2倍の太陽光を受けている可能性が高いと説明している。
ESAのロゼッタ関連ブログには、何らかの信号がすぐに受信されれば「非常に幸運だ」と記された。(c)AFP