【3月12日 AFP】米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)並みのリソースにアクセスすることは到底できないだろうが、親たちが子どもたちの行動を監視することはそう難しくない──たとえ、それがスマートフォンを一時も手離すことができない子供たちの行動でも、次々と登場するガジェットを用いてしっかりと把握できるようになる。

 韓国のLG電子(LG Electronics)のシニア・マーケティングマネジャーを務めるフランク・リーさんには、6歳の娘がいる。彼女の腕には「ギズモパル(GizmoPal)」と呼ばれるカラフルなリストバンドが着けられている。この電子デバイスで、子どもの行動に目を配るのだという。

 このLG電子のデバイスでは、ボタンを押すだけで事前に登録された番号へと電話することが可能となっているだけでなく、GPS機能も搭載しているため、子供が目的地に安全に到着したかも確認することできるという。また受けることのできるのは、事前に登録した番号からのみとなっている。

 フロリダ・アトランティック大学(Florida Atlantic University)のサミール・ヒンドゥジャ(Sameer Hinduja)教授(犯罪学)によると、これら監視関連の製品には、子供のスマートフォンやタブレット端末のカメラ/写真やメッセージ、ウェブ閲覧履歴などにアクセスできるアプリもあるという。

 また、子どもたちが立ち入り禁じたエリアに足を踏み入れると、テキストメッセージや電子メールでアラートを発するよう機器を設定する親もいるという。

「子供にマイクロチップを埋め込んだという話もある」──そう話すのは、全米行方不明・被搾取児童センター(National Center for Missing and Exploited ChildrenNCMEC)のロバート・ロワリー(Robert Lowery)氏だ。

 以前は警察官だったというロワリー氏は、「もちろん、そのような行き過ぎた行為は支持しない」としながらも、テクノロジーの有効性については評価している。同氏は、フェイスブック(Facebook)を例に挙げ、ソーシャルメディアを利用することで情報が瞬く間に拡散し、行方不明の子供の居場所をいち早く特定することが可能になったと説明した。

 一方、こうしたテクノロジーの安易な利用について、ヒンドゥジャ教授はより慎重だ。親がこれらのテクノロジーを利用して、楽に子育てをしようとすることで、子供との関係を逆にこじらせてしまう可能性があるためだという。

 同教授は、「理想は、子供が親に何でも話せるような親子関係だ。もし親が子供に隠れてソフトウェアで監視するようなことをすれば、親が何年もかけて築いてきた子供とのコミュニケーションのラインを切ってしまうことになる」と指摘する。

 また子供が大きくなり、その行動が把握しきれなくなるまで親は辛抱強く待つべきだと述べ、「それはまるで人生をハッキングするようなもの。いい親になるためにソフトウェアがあるなんて思うべきではない。そんな便利なものはないのだから」と続けた。(c)AFP/Glenn CHAPMAN