【3月12日 AFP】ロンドン警視庁(Metropolitan Police ServiceScotland Yard)は11日、先月に行われたサッカー欧州チャンピオンズリーグ2014-15(UEFA Champions League 2014-15)のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)対チェルシー(Chelsea)戦の開始前、黒人男性に人種差別をはたらいたとされる5人を裁判に召喚すると発表した。

 事件の当日には、チェルシーファンがパリ(Paris)市内の地下鉄で電車に乗ろうとする男性を押し返し、人種差別的な歌を歌っている姿が撮影されていた。

 被害者のスレイマン・S(Souleymane S)さんは、事件で「打ちのめされた」とし、公共交通機関を利用することが怖くなったと述べている。

 スレイマンさんはまた、仏RTLラジオに対して、「よく眠れなくなりました。四六時中、事件のことを考え、つらい思いをしています」と語り、子供たちも事件の影響を受けていると訴えた。

「子供たちに、世の中には意地悪で、黒い肌を持つ者を好まない人々がいると言わざるを得ません」

「チェルシーファンに打ちのめされました。車を運転してる時でさえも尾行されている気がして…、こんなことは生まれて初めてです」

 パリで起きた事件の映像は、国外に居住している英国人が携帯で撮影したもので、瞬く間に拡散して非難の声が上がると、チェルシーは即座に5人に対して本拠地スタンフォード・ブリッジ(Stamford Bridge)での試合観戦を一時禁止にした。

 ロンドン警視庁は容疑者5人について、「サッカー禁止命令の処分を求める警察の申し立てにより」、今月25日にロンドン北東部にあるウォルサム・フォレスト治安判事裁判所(Waltham Forest Magistrates' Court)に出廷することになると発表した。

 一方、チェルシーはスレイマンさんを11日のPSG戦に招待したが、当人はその申し出を断ったという。試合は2-2という結果に終わり、チェルシーのチャンピオンズリーグ敗退が決定した。

 サッカー禁止命令は、サッカーに関連した犯罪が確定した場合に裁判所によって発動され、適用期間は3年から10年間となっている。また、これに違反した場合は実刑判決が言い渡されることになる。(c)AFP