マレーシア機失踪から1年、乗客乗員の家族らが各地で集会
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【3月9日 AFP】乗客乗員239人を乗せたマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH370便が消息を絶ってから1年が経過した8日、依然として行方不明のままとなっている人々の家族らが各地で集会を行った。同日、新たな情報として、ブラックボックスに搭載されている位置通報用音響発信機のバッテリーが切れたことが発表されたが、事故原因についての言及はなかった。
マレーシアのナジブ・ラザク(Najib Razak)首相は、インド洋南部で墜落したと考えられているMH370便について、当局は捜索を継続しており、発見されることを期待していると述べた。
マレーシア政府の事故後の対応に批判的な家族らは、行方不明となっている搭乗者たちを忘れないよう、そして困難で高額な費用を要する捜索活動を続行するよう当局に求めるため、クアラルンプール(Kuala Lumpur)や中国・北京(Beijing)などで集会を行った。
同機で先任客室乗務員を務めていたパトリック・ゴメスさんの妻は、「私が知りたいのは、機体がどこにあるかということだけ。それがわかれば、すべてわかるでしょう。彼(ナジブ首相)の言葉を、全世界が聞いた。もう後戻りすることはできない」と語った。
国際捜査チームが8日に発表した報告では、乗客乗員および失踪の原因を示唆するであろう機体に関する情報などは何も明らかになっていない。ただ、フライトデータレコーダーのバッテリーが尽きてしまったことから、そのことが機体の発見をより難しくしている可能性があるとした。
■政府への強まる批判
乗客乗員239人を乗せたMH370便は昨年3月8日、マレーシアのクアラルンプールを離陸し、中国・北京へ向かう途中で消息を絶った。
クアラルンプールで開かれた集会には、乗客の家族らが世界各地から参加し、ライブ映像で参加者した人々とともに祈りをささげた。この集会のために設置され仮設壁には、「望みを捨てるな」、「お兄さん、お姉さん…会いたい。帰ってきてください」など、数多くのメッセージが記されていた。
一方、北京では、事故後の対応をめぐって航空当局と政府を厳しく批判してきた家族らが、マレーシア大使館付近で小規模な抗議デモを開いた。デモの参加者らは大使館周辺を厳重に閉鎖する警察を前に、「最後まで闘う」、「マレーシア政府は謝罪しろ」などのスローガンを叫んだ。
他方、一部の人々は、報告書の内容を否定し、ハイジャックや誘拐などの陰謀説に耳を傾け、不明者の生存を信じ続けている。
同機にパートナーが搭乗していたというある女性は、報告書を作成するために120人から聞き込みを行ったという捜査当局について、「私たちが少ない予算で行った調査のほうがよっぽど規模が大きい」としてその対応を批判した。
家族らは、マレーシア政府のまずい対応によって失踪事件へと発展したと批判を強めているが、これについて当局はコメントを発表していない。(c) AFP/Dan Martin