【3月7日 AFP】のんびりとした田舎の眺めを楽しみながら、自分で料理ができるオランダの「豪華刑務所」から他の刑務所への移動を命じられた受刑者たちが起こしていた裁判で、同国の裁判所は6日、受刑者たちの主張を認めず、ノルウェーから来る「新入り」受刑者たちのために舎房を明け渡すよう命じた。

 オランダでは、受刑者の収監までに待機が必要な隣国ノルウェーの刑務所不足解消を支援しようと、自国の空いている刑務所にノルウェーから受刑者242人を受け入れる「刑務所業務委託」が持ち上がっていた。

 この計画に対し、オランダ北部アッセン（Assen）に近いノルゲルハーフェン（Norgerhaven）刑務所で「Kセクション」と呼ばれる区画に収監されている禁錮10年～終身刑の受刑者のうち18人が、他刑務所へ移送されるようなことがあれば、長期受刑者だけに認められている権利が剥奪されるとしてオランダ司法省を訴えていた。しかし、6日の判決でハーグ（Hague）地裁は、長期受刑者たちは移動しなければならないとする判決を下した。

 一方、この計画については、ノルウェー側の受刑者の家族たちも、何百キロも離れた別の国へ受刑者が送られることに怒りを示していた。

 オランダの美しい田園風景の中にあるこの刑務所では、受刑者たちが野菜やニワトリを育て、食事を自分たちで作り、日課も比較的緩やかだといい、国内メディアは「豪華刑務所」と呼んでいる。趣味を楽しむスペースもあり、独居房の壁に塗るペンキの色を自分たちで決めることができ、さらに55チャンネルが映るテレビも個別に備わっている。

 オランダ当局によれば、同国では今後5年間で約700室の独居房が空く見込み。また2010年以降は南部ティルブルフ（Tilburg）の刑務所で、ベルギーからの受刑者550人を受け入れてきた実績がある。

 今回の委託に関し、オランダとノルウェーの両国はすでに2日、2500万ユーロ（約33億円）の「委託料」で合意しており、議会で承認されれば9月1日に最初の受刑者移送が行われるという。(c)AFP