黒人射殺の警官訴追せず、警察の人種差別は認定 米司法省
このニュースをシェア
【3月5日 AFP】米ミズーリ(Missouri)州ファーガソン(Ferguson)で昨年8月、武器を所持していなかった黒人青年マイケル・ブラウン(Michael Brown)さん(当時18)を射殺した白人警官について、同国司法省は4日、訴追を見送ることを決定したと発表した。だが同時に発表した報告書の中では、地元警察が組織的に黒人の市民を標的としていたと非難している。
セントルイス(St. Louis)郊外の町ファーガソンで発生したこの事件は、全米で怒りの声を巻き起こし、黒人の市民に対する警察の対応のあり方に批判が集中するなど、警察と黒人社会の関係への注目を集めるきっかけとなった。
ブラウンさんを射殺したダレン・ウィルソン(Darren Wilson)氏については昨年11月、州の大陪審も不起訴を決定していた。同氏に対しては今後、いかなる法的措置もとられないこととなる。
司法省は、ウィルソン氏がブラウンさんの公民権を侵害したことを、合理的疑いなしに証明することはできないと指摘。訴追するメリットはないと結論付けている。
また司法省は同時に、ファーガソンの警察についての調査結果をまとめた報告書を公表。その中で、ファーガソンでは人種差別がまん延し、さまざまな形で市民の憲法上の権利が侵害されていたと認定した。
報告書によれば、地元警官らは日常的に、合理的な疑いなく車の運転手ら制止したり、相当な理由なく市民を逮捕したり、過度の暴力を振るったりしていた。
町の人口約2万1000人に占める黒人の割合は約3分の2だったが、2012~14年の逮捕者のうちの黒人の割合は93%に上った。また、警官に制止されたことがある人の85%が黒人だった他、出廷命令の対象となった人のうち90%、そして警察が力を行使した対象の88%が黒人だった。(c)AFP/Robert MACPHERSON