イラク国立博物館が12年ぶり再開、ISの略奪行為に反発
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【3月1日 AFP】イラクの首都バグダッド(Baghdad)にある国立博物館が2月28日、12年ぶりに再開した。米国主導のイラク戦争中の2003年、収蔵品約1万5000点が略奪されたものの、関係者らの忍耐強い努力で3分の1近い約4300点を回収し、再開にこぎつけた。関係者らは、北部モスル(Mosul)で起きたイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」による貴重な古代石像の破壊への反発を示すため博物館再開を前倒ししたと話している。
カイス・フセイン・ラシド(Qais Hussein Rashid)観光・遺跡副大臣はAFPに対し、「ここ2か月近く(国立博物館の)再開準備を進めていた。博物館は全ての人に公開されなければならない」と語った上で、「モスルの出来事があったので(再開を)急いだ。ダーイシュ(Daesh、アラビア語におけるISの頭字語)の一味の行為に対する反発として、本日再開したいと思っていた」とコメントした。
ISは2月26日、昨年6月に制圧したモスルの博物館で、戦闘員らが古代石像をハンマーなどで破壊する動画を公開。戦闘員の一人はカメラに向かって、イスラム教で禁止されている偶像崇拝の象徴だとの理由から、宗教的見地に基づいて石像を破壊するとの主張を展開した。しかし当局者や専門家らは、大き過ぎて自称「カリフ国家」の資金調達を目的とした密売が不可能な作品を破壊したにすぎないとの見方を示している。
国立博物館の一般公開は3月1日からの予定。入場料はイラク人が1500イラク・ディナール(約120円)、アラブ系外国人は10ドル(約1200円)、その他の外国人は20ドル(約2400円)。(c)AFP/Karim Abou Merhi