チリの14歳少女、安楽死の許可求め大統領にメッセージ
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【3月1日 AFP】難治性の遺伝病「嚢胞(のうほう)性線維症」に苦しむチリの14歳の少女が安楽死を認めてほしいと訴える動画をインターネットに公開したことを受け、ミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)大統領は2月28日朝、カルメン・カスティージョ(Carmen Castillo)保健相を伴って事前の予告なく少女の入院先の病院を訪問した。
首都サンティアゴ(Santiago)にあるカトリック大学病院(Catholic University Hospital)に入院しているバレンティナ・マウレイラ(Valentina Maureira)さんは、両親も知らないうちに病室のベッドでスマートフォンを使い自ら動画を撮影。動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿していた。
大統領に宛てたメッセージの中でバレンティナさんは、「この病気を抱えて生きるのに疲れた。すぐに大統領と会って話がしたい」、「大統領が注射を許可してくれれば、永遠に眠れる」などと訴えていた。バレンティナさんは「安定した状態」だが、この病気の患者は肺など重要な臓器の機能が低下し、呼吸不全やその他の多くの症状に苦しめられる。
大統領報道官は先月26日、政府はバレンティナさんの願いをかなえることはできないが、患者と家族の精神科的な処置の費用を負担する用意があると述べていた。
バレンティナさんの父親、フレディ(Fredy Maureira)さんは国内メディアに対し「娘はもう14歳で、この病気のことを誰よりよく分かっている」、「娘は永眠したいと望んでいる」などと話し、安楽死を望みはしないが娘の意志を尊重するほかないとの考えを明らかにした。
バレンティナさんのメッセージはソーシャルネットワーク上で多くの人に閲覧され、再生回数は数千回に上った。これをきっかけに、チリでは法律で禁止されている安楽死についての議論が高まっている。(c)AFP