【2月25日 AFP】ハンガリーのある村長がこのたび、村を全体を貸し出す広告をインターネットに掲載した。貸し出しには副村長の職も含まれている。

 賃貸に出されたのはブダペスト(Budapes)の南西約180キロに位置する人口18人のメジェル(Megyer)村。全ての施設を含め、1日21万フォリント(約9万円)で借りることができる。

 23日に出された広告によると、賃貸料に含まれるのはメジェル村の舗装道路2本と砂利道2本の道路計4本、村長室、カルチャーセンター、バス停、「農家スタイル」の家具付き家屋7件。

 メジェル村のクリシュトフ・パイエル(Kristof Pajer)村長は、「私が導入した法律では、外部の人でも週末に副村長を勤めることができ、通りの名前を変えることも可能です」とAFPの電話取材に答えた。

 借主はまた、村の協同組合の馬6匹、牛2匹、羊3匹、鶏舎、耕作地4ヘクタールを使用できる。

 ブダペスト出身でエンジニアの村長は、10年前にここを初めて訪れ、その時にメジェルに一目ぼれしてしまったのだという。その1年後、村で不動産を購入し、直後に村長に選出された。

 AFPの取材に対し、パイエル村長は、ゆっくりと進行する衰退から、メジェル村を救うことが貸し出しの目的と述べた。ブダペストや外国への若者の流出が止まらない現状は、多くの辺境の村が直面している問題だ。

 メジェル村には、家屋が20軒あるが、一年を通じて人が住んでいるのは、そのうちのわずか5軒にすぎないという。

「広告を通じて、この村に収入が来るようになればいいと思う」と話すパイエル村長だが、「一番大切なのは注目を集めることです」とその胸の内を明らかにした。(c)AFP