【2月25日 AFP】フランス外務省は、政情不安が続くイエメンで働いていた仏人女性が24日朝、何者かに拉致されたと発表した。

 イエメンの治安筋によると、女性は首都サヌア(Sanaa)の中心部でタクシーに乗っていたところを、現地ガイドと共に武装集団に拘束された。女性は後に、イザベル・プリム(Isabelle Prime)さん(30)と特定された。

 2人は、世界銀行(World Bank)が資金提供しているプロジェクトの開発援助員で、同行は2人の身の上を「深く案じている」という。同行によると、2人は正規の職員ではなく、「世界銀行が出資しているプロジェクトの下で、イエメンの社会福祉基金(Social Welfare Fund)からの委託を受けたコンサルティング企業の契約社員」だった。

 イエメンは、昨年9月にイスラム教シーア派(Shiite)系の民兵組織「フーシ(Huthis)」に首都を制圧されて以来、深刻な政情不安に見舞われている。英仏米をはじめとする欧米諸国は今月に入り、治安悪化を理由に在イエメン大使館を閉鎖するとともに、自国民に対し出国を促してきた。仏外務省はイエメンにいる全仏国民に対し、「できるだけ早く国外退去する」よう呼び掛けている。

 先月には、アブドラボ・マンスール・ハディ(Abd-Rabbo Mansur Hadi)大統領(69)とハリド・バハーハ(Khalid Bahah)首相が辞意を表明。フーシは政権を掌握し「大統領評議会」を設置した。

 だがハディ大統領は今月21日、軟禁されていた自宅からの脱出に成功して旧南イエメンの首都アデン(Aden)に姿を見せた。24日には辞意を撤回し、再び同国を率いて危機から脱出させると訴えた。ハディ氏の側近によると、同氏は先に議会に提出していた辞表を取り下げた。議会は同氏辞任の正式な審議にすら至っていなかったとしている。(c)AFP/Fawaz al-Haidari