【2月24日 AFP】米ニューヨーク(New York)州連邦地方裁判所の陪審団は23日、2002年から04年にかけて中東エルサレム(Jerusalem)で発生し米国人が死傷した6件の襲撃事件について、パレスチナ当局の責任を認め、被害者やその家族らに対し2億1800万ドル(約260億円)の賠償金の支払いを命じる評決を下した。

 米国の反テロ法の下では賠償金は自動的に3倍になることから、パレスチナ自治政府(Palestinian AuthorityPA)とパレスチナ解放機構(Palestine Liberation OrganizationPLO)には6億5000万ドル(約770億円)以上の支払いが命じられることになる。

 エルサレムで02年1月から04年1月にかけて発生した6件の爆撃や銃撃では、合わせて33人が死亡、390人以上が負傷した。第2次インティファーダ(パレスチナ住民の反イスラエル闘争)中に起きたこれらの事件は、米国がテロ組織に認定しているイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)とアル・アクサ殉教者旅団(Al-Aqsa Martyrs BrigadesAAMB)が引き起こした。

 裁判では、12人からなる陪審団が、PAとPLOが25の訴因について責任を負うとの評決を下し、負傷者と遺族に対しそれぞれ100万ドル(約1億1900万円)から2500万ドル(約30億円)の賠償額を振り分けた。この額は、1月中旬の開廷時に原告11家族の弁護士らが求めていた賠償金10億ドル(約1190億円)に比べると、大幅な減額となった。

 しかしパレスチナ側が支払いに応じるのかどうか、また応じるとすればどうやって支払うのかは不透明だ。パレスチナ指導部はイスラエルによる資産凍結で深刻な経済状況に置かれている。パレスチナのマフムード・ハリファ(Mahmoud Khalifa)情報副大臣はこの評決を「事実無根」と断じ、上訴する方針を表明。裁判は、「2国家共存」によるパレスチナ問題の解決を阻害しているイスラエル内の「反和平派ら」による政治的な動機に基づいたものだと訴えている。(c)AFP