【2月20日 AFP】超小型無人機のように動作する微小ナノ粒子を使い動脈内に蓄積したプラークまで薬剤を運んで治療する実験的治療法を開発中との研究論文が、18日の米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)」に掲載された。

 この抗コレステロール治療法は現在のところ、まだ実験用マウスでの試験が行われている段階だが、ナノ粒子自体はすでにがん患者に対する臨床試験が実施されている。

 今後さらに安全性試験を重ねる必要があるが、現在のところ科学者らは、アテローム性動脈硬化症の治療に新たな道が開ける可能性があるのではと注目している。アテローム性動脈硬化症は、米国やその他の先進国における死因トップの心疾患を引き起こす。

 米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)と米コロンビア大学メディカルセンター(Columbia University Medical Center)が主導した今回の研究では、標的型ナノ粒子に抗炎症薬を組み込んで運ばせ、プラークが蓄積されている標的部位で治療薬を放出させた。

 研究チームは、進行性の動脈硬化が起きるアテローム性動脈硬化症を発症したマウスを2グループに分け、一方のグループに5週間にわたる治療を施して、未治療グループとの比較を行った。論文によると、標的型ナノ粒子を投与されたグループでは「動脈への損傷が著しく修復され、プラークは安定化した」とされる。

 ただ、マウスは心臓発作を起こさないため、今回の治療法が人間でどの程度有効かについては、人間での臨床試験を試行しなければ分からない。人を対象とした臨床試験の実施は数年先になる可能性がある。(c)AFP