HIVワクチン実現に前進、サル実験で「非常に強い予防効果」
このニュースをシェア
【2月19日 AFP】サルを用いた新薬の実験で、ヒト以外の動物に感染するHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の類似ウイルスに対する驚異的な予防効果が確認されたとの論文が18日、英科学誌ネイチャー(Nature)で発表された。HIVワクチン開発に向けた大きな前進だ。
論文によると、新薬を投与されたマカクザルは、大量のHIV類似ウイルスを繰り返し与えられても感染を防ぐことができたという。
米フロリダ(Florida)州スクリプス研究所(Scripps Research Institute)の研究リーダー、マイケル・ファーザン(Michael Farzan)氏は、「HIV-1に対する効果的で長期にわたり続くワクチンに似た防御を達成するための道を、われわれは示した」と述べた。
「eCD4-Ig」と呼ばれるこの実験薬は、免疫細胞の防御システムで中心的な役割を果たすCD4細胞にHIVが感染する際の結合ポイントとなるレセプター(受容体)の模倣体2つからなる。HIVはこの模倣体を本物のレセプターであると勘違いし、結合行動を開始する。HIVは結合を1度しか行えないため、それ以降のCD4細胞への結合はできなくなる。
科学者らはこの効果を、侵入者の前でドアを閉じ、鍵を捨ててしまうことになぞらえている。ファーザン氏はAFPに宛てた電子メールで、新薬によって「非常に強い予防効果」が得られたと語った。
論文によると、40週間にわたる実験で、新薬を接種されたサルは、コントロール(対照群)グループのサルが感染に至るのに必要とした量のウイルスを4回投与されても、感染を防げることが示された。また、ファーザン氏によると、接種から1年以上後に同量のウイルスを8~16回投与されても感染することはなかったという。(c)AFP/Olivier THIBAULT