【2月19日 AFP】ロシア陸上競技連盟(ARAF)は18日、同国の陸上界には組織的にドーピングが行われている疑いがある、という内容のドキュメンタリー番組を昨年12月に放送したドイツ公共放送連盟(ARD)に対し、訴訟を起こした。

 60分のドキュメンタリー番組「ドーピングにまつわる機密文書-ロシアがどのように勝者を生んだか(Secret Doping Dossier: How Russia produces its Winners)」では、ドーピング違反で資格停止処分を受けていた女子800メートル選手のユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova、旧姓:リサノワ〈Rusanova〉)と、露反ドーピング機関(RUSADA)の元職員である夫のヴィターリー・ステパノフ(Vitaly Stepanov)さんが痛烈な批判を行った。

 露陸連の弁護士は同日、ロシア通信(RIA)に対して、「われわれは、ロシア陸上競技連盟の名声を汚す根も葉もない告発の撤回を要求する民事訴訟を起こした」と述べた。

 同弁護士によると、訴訟はARD編集委員のハンスヨアム・ゼッペルト(Hans-Joachim Seppelt)氏を筆頭に、連盟の方針に根拠のない主張を行ったロシア人選手やコーチに対して行われるとされている。

 番組では特に、同連盟の会長を17日に辞任したワレンティン・バラフニチェフ(Valentin Balakhnichev)氏を名指しで批判していた。

 1991年から連盟を支配していた65歳のバラフニチェフ氏は声明で、「辞任します。私は、ロシアで増加するドーピング問題に対して全面的に立ち向かうことに失敗しました」と述べた。

「また、陸連の会長として、責任は私個人にあると理解しています。それが決断の理由です」

 問題のドキュメンタリー番組を受けて、RUSADAが捜査に着手した一方で、世界反ドーピング機関(WADA)もリチャード・パウンド(Richard Pound)元会長の先導で独自の調査を行っている。(c)AFP