【2月18日 AFP】マルハナバチ間の寄生虫感染対策に役立つ可能性がある複数の天然成分が、花の蜜にまとめて含まれているとする研究結果が18日、明らかにされた。

 近年、北米や欧州では、ミツバチの巣群(コロニー)が、蜂群崩壊症候群という謎の現象により崩壊の脅威にさらされているが、この対策に新たなヒントを与える研究だ。

 今回、米ニューイングランド(New England)地方の生物学者たちは、クリチジア属の腸内寄生虫に実験室感染させた北米のマルハナバチを対象に8種類の花蜜成分を実験した。クリチジアはハチの糞を介して感染が広がり、越冬生存率と繁殖成功率を低下させる寄生虫だ。

 この結果、花蜜成分のうち4種類がクリチジアに対して有効だった。最も効果が大きかったのはアナバシンと呼ばれるアルカロイドで、葉を喫煙用にするキダチタバコと呼ばれる野草に含まれており、マルハナバチの実験では寄生虫が81%減少した。

 さらに、広く分布しているセイヨウシナノキに含まれるチモール(寄生虫減少率67%)、タバコに含まれるニコチン(同62%)、ゴマノハグサ科の北米産の観葉植物バルモニーに含まれるカタルポール(同61%)といった成分の効果がこれに続いた。

 米ダートマス大学(Dartmouth College)は声明で「研究結果が示しているのは、これらの成分が豊富な植物を養蜂場の周囲に植えれば、病気にかかったハチの生存率を上げたり、作物の受粉を高めたりする自然の『薬箱』ができるかもしれないということだ」と述べた。

 研究を率いるライフ・リチャードソン(Leif Richardson)氏によれば、これらの成分がミツバチにも効果があるかどうかについては、さらなる実験が必要だが、同氏はAFPのEメール取材に対し「マルハナバチもミツバチも同じミツバチ科で、比較的近縁種なので、これらの結果がミツバチにも当てはまる可能性はある」と答えた。

 今回、マルハナバチに非常に効果的であることが分かった、抗クリチジア成分の1つであるチモールは、現在、ミツバチにつくダニの有機的駆除に使用されている。(c)AFP