【2月18日 AFP】ミャンマー政府は17日、中国との国境に近い北東部シャン(Shan)州コーカン(Kokang)地区で国軍と武装勢力との戦闘が激化していることを受け、同地区に非常事態を宣言した。

 同地区では今月9日から国軍と少数民族コーカン族の武装勢力の間で銃撃戦や空爆を伴う激しい戦闘が続いており、地元当局によると、被害は民間人にも及んでいる。数万人の市民が家を追われ、中国にも大量の難民が流入。中国当局も、紛争の拡大に対する警戒感を表明している。

 ミャンマー情報省は、コーカン地区での措置を説明する声明を発表し、「市民の命が危険にさらされる深刻な状況となっていることから、本日付けで非常事態を宣言する」と述べた。一方の中国政府は、ミャンマーから約3万人が中国南西部の雲南(Yunnan)省に流入したことを受け、国境警備を強化したことを明らかにした。

 民族的には漢族であるコーカン族と兵士らとの衝突は、コーカン族が住むラオカイ(Laukkai)を中心に発生。国境に近い同地域からは現在、人影が消えている。

 軍は、ラオカイ制圧を試み50人近くの兵士を殺害した武装勢力に対する反攻を開始。これまでにコーカン族と軍の双方で合わせて数十人が死亡したとみられているが、正確な死傷者数を把握するのは困難な状況となっている。

 今回の衝突は、ミャンマー政府が進めてきた多数の少数民族の武装勢力との間の停戦に向けた努力を損なうものとなった。

 紛争の再発のきっかけは明らかになっていないが、政府関係者はコーカン族の武装勢力の指導者が戦闘再開のきっかけを作ったとして非難するとともに、中国政府に対し、雲南省の地元当局関係者がコーカン族を支援することがないよう協力を要請している。

 アヘンの産地として知られるコーカン地区は、ミャンマー軍がコーカン族の武装勢力に対する大規模な攻撃を行い数万人が中国側に流出した2009年以降は、比較的穏やか状態が続いていた。(c)AFP/Nan Tin HTWE