【2月17日 AFP】レバノンのイスラム教シーア派(Shiite)原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)は16日、イラクでイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」を相手に戦っていることを初めて明らかにした。ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ(Hassan Nasrallah)師が支持者に向けた演説の中で語った。

 すでにヒズボラはシリアでバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領側について内戦に介入している。ナスララ師の演説の2日前には、同師への反対勢力を率いるレバノンのサード・ハリリ(Saad Hariri)元首相がヒズボラにシリアから撤退するよう求めていた。

 これに対しナスララ師は、「シリアからの撤退を求める人々に対しては、共にシリアへ行こうと呼び掛ける」と表明。イスラム国や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系のイスラム武装勢力「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」に言及し、「イラクへ、そして、われわれの国や地域をおびやかすこの脅威と戦うことができるいかなる場所へも、われわれと共に向かおう、と呼び掛ける」と述べた。

 ともにイスラム教スンニ派過激派であるイスラム国とアルヌスラ戦線は、シリアの広域を掌握下に置いている。さらにイスラム国はリビアにも勢力を伸ばしており、16日には同国でキリスト教の一派、コプト教のエジプト人信者21人を斬首したとする映像を公開した。

 これについてナスララ師は「凶悪極まりない犯罪だ」と糾弾。イスラム国とアルヌスラ戦線は「同じ特質、イデオロギー、精神構造、手口」を持っており、両組織の違いは指導者だけで本質は何ら変わりないと断じ、全ての「スンニ過激派」と例外なく戦うと語った。(c)AFP