ウクライナ停戦2日目、要衝での戦闘激化で早くも暗雲
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【2月17日 AFP】ウクライナ東部の停戦は発効から2日目の16日に早くも揺らぎ始めた。鉄道の要衝付近での戦闘激化をはじめとする複数の違反行為が報告されており、前線からの重火器撤去を開始するという取り決めが履行されない恐れも出てきている。
ドネツク(Donetsk)とルガンスク(Lugansk)の間に位置する交通の要衝デバルツェボ(Debaltseve)では、政府軍の数千人規模の部隊が、重武装した親ロシア派勢力にほぼ包囲されている。政府側支配地の警察副署長がウクライナのテレビに語ったところによると、戦闘は続いており、デバルツェボの中心部に迫撃砲やグラート(Grad)多連装ロケット砲が撃ち込まれている。
デバルツェボから逃れたある地元当局者はAFPに対し、「途切れない爆発」が聞こえたと語り、食料も水も十分にないまま市民約5000人がデバルツェボ内に取り残されていると述べた。
欧州安保協力機構(Organization for Security and Cooperation in Europe、OSCE)の停戦監視チームも、衝突が続いているためデバルツェボに入れずにいる。
ウクライナ政府は、15日に親ロシア派から112回以上攻撃され、兵士5人が死亡、25人が負傷したと発表した。ウクライナ国防省のフェイスブック(Facebook)のページによると、16日にはさらに38人が死亡し、その大半は迫撃砲とグラート多連装ロケット砲によるものだったという。さらにウクライナ国防省は、親ロシア派は自らドネツクに砲撃を加え、政府軍に攻撃されたと主張していると述べた。
ウクライナ政府側と親露派側は、17日午前0時(日本時間同7時)までに前線から戦車やロケット、迫撃砲などの撤去を開始すると約束していた。しかし相手側が攻撃を続けているため撤去開始できずにいると、相互に非難し合っている。
この状況を受けて、前週フランスとドイツの仲介による和平努力を支持してきた欧州連合(EU)は、「砲撃をやめなければならない」と呼び掛けた。
同時にEUは、ウクライナ東部に新たな共和国を樹立しようとウクライナ政府と戦っている親ロシア派武装勢力を軍事面で支援しているとして、ロシアに対する新たな制裁を発動した。一方、紛争への関与を否定しているロシア側は、EUのこの動きに対抗する「適切な対応」を講じる方針を示した。(c)AFP/Marc Burleigh, with Bryan McManus in Brussels