【2月16日 AFP】キャロルさん(41)がベルギーの売春宿での地獄生活に陥ったのは、3人の男から性的暴行をうけたうえ、その様子を撮影したビデオをねたに脅されたことが始まりだった。幸いにしてキャロルさんは3年間の売春地獄から抜け出すことができたが、過去の悪夢は今も消えることはない。

 奇しくも現在キャロルさんが住むフランス北部リール(Lille)で、「ドードー」の異名を持つベルギーの売春宿経営者らの公判が国際通貨基金(IMF)の専務理事だったドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)氏を巻き込んで開かれている。キャロルさんは、この裁判で自身の悪夢がよみがえったとAFPに話す。

■「現代の奴隷制度」

 当時、経営していた会社が倒産したキャロルさんに、ベルギーのバーで中小企業の経営者たちを相手に「シャンパンのお酌をする仕事」の話が持ち込まれた。「精神的に疲れていたし、資金も住む家もない」状態にあったキャロルさんは、この申し出を受けた。

 だがキャロルさんは薬を飲まされて3人の男から性的暴行を受け、その様子を撮った動画で脅迫され売春を強要された。「それが悪夢の始まりだった」

 最初の2か月間はほとんど囚人のような扱いを受け、24時間働かされた。派遣されたシャンパン・バーや売春宿では監禁状態に置かれた。派遣先の店の店主たちは「ドードー」の知り合いたちだったという。「まるで現代の奴隷制度だった。外出や週末に休みをもらうにも許可が必要で、客から苦情があれば許可してもらえなかった」とキャロルさんは振り返る。