【2月12日 AFP】星形成の初期段階にある4個の恒星からなる「4重連星系」を観測したとの研究論文が、11日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。この観測結果は、2個以上の連星系がどのようにして誕生するかを説明する助けになる。複数の星からなる連星系の誕生は、天の川銀河(銀河系)では驚くほどよくある現象だ。

 論文を発表した米マサチューセッツ大学アマースト校(University of Massachusetts Amherst)などの天文学者チームによると、4重連星系は、ペルセウス座(Perseus)内に位置する、よく知られた「星形成領域」にある分裂したガス雲の中で発見された。地球からの距離は約800光年という。

 連星系は若い星1個とガス塊3個で構成されている。ガス塊はそれぞれ約4万年以内に核融合を起こし、太陽質量の10分の1程度の小型の恒星になる可能性が高いと研究チームは推測している。

 研究チームは、兄弟星4個の間で及ぼし合う重力の激しい相互作用により、これらの星の1つが100万年以内に連星系から追い出されることになると予想している。

 今回の観測は、米ニューメキシコ(New Mexico)州にある超大型干渉電波望遠鏡群(Very Large ArrayVLA)と、米ウエストバージニア(West Virginia)州にある可動式望遠鏡、グリーンバンク望遠鏡(Green Bank Telescope)を用いて行われた。

 恒星は、塵(ちり)の雲が凝縮して形成されるが、複数の星の誕生を引き起こす要因についてはほとんど明らかになっていない。銀河系内で起きる星形成では、半数近くが連星系だ。

 マサチューセッツ大アマースト校の天体物理学者、ステラ・オフナー(Stella Offner)氏は「これは単純な問題のように思われる」と語った。

 同氏は「太陽系に最も近い恒星系のアルファ・ケンタウリ(Alpha Centauri)星系が3重連星系の1つである一方で、太陽が単星なのはなぜだろうか」としながら、「複数の星からなる連星系がどのようにして誕生するかについては、競合するモデルがいくつか存在するが、今回の観測によって以前より少し知識が深まった」と述べた。(c)AFP