アフガニスタンがISの「聖域」になる恐れも、元CIA高官
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【2月11日 AFP】米中央情報局(CIA)の元高官が10日、欧米各国が駐留部隊を撤退させた後のアフガニスタンは再びイスラム過激派の「聖域」になる恐れがあると警告した。
CIAでパキスタン・イスラマバード(Islamabad)の支局長などを務め2006年にCIAを退職したロバート・グレニア(Robert Grenier)氏は今年出版した回顧録「88 Days to Kandahar(カンダハルまでの88日)」の中で、アフガニスタンが、現在シリアとイラクで戦闘を続けているイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」の隠れ家になる可能性さえあると指摘した。
この回顧録の中でグレニア氏は、2001年の米同時多発テロ後に米国がアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)政権を打倒した戦いを「第1次米アフガン戦争」、その後のタリバンとの戦いを「第2次米アフガン戦争」と呼び、米国は前者では容易に勝利を収めたが、後者では敗北、少なくとも勝利してはいないと総括。さらに、過去の失敗を繰り返せば米国はアフガニスタンで3度目の戦いを迫られるかもしれないと警鐘を鳴らした。
グレニア氏はまた、今後2年間アフガニスタンに残る米軍率いる小規模な部隊も完全に撤退すれば、欧米各国はアフガニスタン政府に必要な資金援助をしなくなるとの懸念を示した。さらに、10年以上に及んだタリバンとの戦いの結果についても悲観的な見解を示し、「巨額の戦費と失われた人命と引き換えに得られたものはほとんどない。それさえもわれわれが撤退すれば長くは存続しないだろう」と述べた。(c)AFP