【2月9日 AFP】中国・上海(Shanghai)に建設しているテーマパークについて、ディズニーは先週、開園時期を2016年に延期すると発表した。現在、建設作業が進むマジックキングダム(Magic Kingdom)を覆うのは、組まれた足場と延期をめぐる「謎」だ。

 上海東部に位置する厳重に警備された広さ3.9平方キロメートルの敷地には、建設途中の「Enchanted Storybook Castle」の灰色の小塔が空に向かって伸びている。

 正面ゲートには、「ディズニー」の文字はなく、「Shanghai International Tourism and Resort Zone(上海国際観光リゾート地区)」と書かれた看板があるのみだ。

 当初の予定では、今年中に開園することになっていたが、ディズニーのボブ・アイガー(Bob Iger)最高経営責任者(CEO)は先週、計画の遅れと来春までの開園の延期を発表。その理由に、パークの規模とアトラクション数の拡大を挙げていた。

 ただ、一方の上海当局は、ディズニーが発表した拡大計画について確認できていないとしている。また内部事情に詳しい関係者も、環境および労働基準が、一般的な中国の建設現場よりも厳しく設定されていることが、遅延の背後にあるとみている。

 一部の情報によると、建設現場の汚染された土壌が環境基準に適合せず、この問題に対処するためにディズニーは国外から専門業者を雇ったといわれている。表土は、作業員らによって深さ1メートルまで取り除かれたが、この作業によって遅れが生じたとされている。

 また作業員の話によると、建設業者が一般的な労働時間となる1日8時間を求めたため、作業のスピードアップを図ることができなかったとされる。同国では、多くの建設現場での労働法施行があいまいとなっており、違反は日常的にみられる。

 遅れについてディズニーは、コメントを出していない。

■期待される経済的好影響

 上海ディズニーリゾート(Shanghai Disney Resort)は、東京と香港(Hong Kong)に続くアジア地域3番目のディズニーのテーマパークとなる。しかし、香港の施設が中国市場に持つ影響力は限定的で、また現在、ユニバーサル・スタジオ(Universal Studios)やアニメーション製作会社ドリームワークス・アニメーション(DreamWorks Animation)も中国本土に競合するテーマパークを計画しているとされる。

 中国のある専門家は、上海施設の開園によって、都市GDPの1%に当たる33億ドル(約3900億円)が上海経済に毎年もたらされると推計している。ディズニーと中国の提携企業、上海申迪(シェンディ)集団(Shanghai Shendi Group)は2011年4月、パーク建設に着工した。

 上海に開園予定の施設の総費用は55億ドル(約6500億円)。完成時には、世界最大のディズニーの城やミュージカル「ライオンキング(Lion King)」の中国語版の上演、映画『カリブの海賊(Pirates of the Caribbean)』を基にした、海賊ゾーンなどが用意される。

 また、上海の浦東(Pudong)地区で最も高い人工山がそびえ立つ他、客室数420の「優雅なアールヌーボー調」のホテルや、映画『トイ・ストーリー(Toy Story)』をテーマにしたホテルの建設が計画されている。

 商業施設では、隣接する約4万6000平方メートルの「ディズニータウン(Disneytown)」内に、複数の店舗やレストランの他、座席数1200の劇場などが設置される予定。

 同市の観光計画をめぐって顧問を務めた上海財経大学(Shanghai University of Finance and Economics)のHe Jianmin氏は、パークの来場客数について、開園直後は年間700万人、最終的には1600万人に達すると予想している。(c)AFP/Bill SAVADOVE