イスラム国、人質の米女性がヨルダン軍の空爆で死亡と主張
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【2月7日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」は、同グループに拘束されていた米国人女性が6日に行われたシリア空爆によって死亡したと公表した。
これに先立ちヨルダン政府は、ヨルダン軍がイスラム国に対する空爆の範囲を拡大し、シリアに加えイラク国内の目標にも空爆を行ったと発表していた。
英国を拠点とする非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、有志国連合は6日、イスラム国が「首都」と称しているシリア北部のラッカ(Raqa)周辺で空爆を実施し、これによりイスラム国の戦闘員30人以上が死亡した。
イスラム国はインターネットに掲載された声明の中で「十字軍連合が金曜礼拝後にラッカ周辺の拠点を爆撃した」と述べ、人質にしていた米国人女性カイラ・ジーン・ミューラー(Kayla Jean Mueller)さん(26)が、ヨルダン軍の空爆を受けて倒壊した建物の下敷きになったと主張。「戦闘員に負傷者は出なかったが、米国人人質1人が空爆で死亡した」としていた。
この主張を受け、ミューラーさんの家族は報道陣に対し、内容に関する報道を控えるよう要請。家族が米アリゾナ州選出のジョン・マケイン(John McCain)上院議員を通じて発表した声明によると、ミューラーさんは2013年8月、シリアのアレッポ(Aleppo)で、国際医療援助NPO「国境なき医師団(Doctors Without Borders、MSF)」の病院を出た後に拘束された。
ヨルダンのナセル・ジュデ(Nasser Judeh)外相は、イスラム国の主張に対し、「人質を人間の盾として使ったうえ、空爆で死亡したと主張するのは、テロリストや独裁者が何十年も前から使い続けている古くてうんざりする戦術だ」とツイートした。
イスラム国の声明には遺体の写真はなく、ミューラーさん死亡の情報は独立した別の情報源では確認されていない。米国家安全保障会議(National Security Council、NSC)のバーナデット・ミーハン(Bernadette Meehan)報道官は、「人質死亡の報道に関して深く懸念しているが、イスラム国の主張を裏付ける証拠はまだ何もない」と述べた。(c)AFP/Rita Daou