アルプスのスキー場で米学生が遭難、丸2日後に奇跡の生還
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【2月5日 AFP】スイス・アルプス(Swiss Alps)のスキー場でコースから外れて行方不明になった米国人学生(19)が、48時間ぶりに発見される「奇跡」が起きた。スイス警察当局が4日、発表した。
警察の声明によると、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(Ecole Polytechnique Federale de Lausanne、EPFL)に通うこの男子学生は1日、スイス南部のディアブルレ(Diablerets)のリゾートスキー場で滑っている最中に行方が分からなくなった。「発見時は、腰の高さほどの雪の中にはまった状態だったが、意識はあり、低体温症と極度の疲労が認められた」という。警察では、生存していたのは「奇跡的だ」と述べている。
警察は、学生が意図的にオフピステ(ゲレンデ外)に出た結果遭難したとみているが、本人は吹雪で迷ったと主張している。
■雪深い谷間、首まで池に
ベルン(Bern)近郊ツワイジンメン(Zweisimmen)の病院のベッドで匿名のインタビューに応じたこの学生は、「リフトの柱に沿って歩こうとしたが、吹雪がだんだんひどくなって、気が付いたら峡谷にいた」と語った。
右も左も35メートルほどの高さの峡谷だったことから、学生は峡谷をそのまま下るしかないと判断。なるべく動き続けて体温を保とうとしたが、2日夜には雪の中に穴を掘って6時間ほど睡眠をとった。また、途中で首ほども深さのある池を渡ったという。
峡谷の最後には急な滝があり、それ以上進むことができなかったため、どうにか峡谷から這い上がり、助けを求めて叫ぶことにした。「たぶん4~5時間くらい、その場に座って叫んでいたと思う」。3日午後になって、近くの道路を通りがかった人が叫び声を聞き、学生を発見。学生は命に別条はなかったが、ヘリコプターで病院に搬送された。
警察は学生について、服装面では比較的よく装備を整えていたが、シャベルやセンサーなどの「オフピステを滑るのに必要な装備や、コース外でもコミュニケーションが取れる通信装置などは全く持ち合わせていなかった」と指摘し、生きていたのは幸運でしかないとの見方を示した。
スイス・アルプスでは、この米国人学生が救助される前、4日間で11人のオフピステスキーヤーが雪崩に巻き込まれて死亡していた。(c)AFP