【2月4日 AFP】1960年の小説「アラバマ物語(To Kill a Mockingbird)」で知られる米女性作家、ハーパー・リー(Harper Lee)氏(88)の第2作目となる作品が55年ぶりに出版される。出版大手ハーパーコリンズ(HarperCollins)が3日、明らかにした。

 新たに出版が決まったのは「Go Set a Watchman(原題:ゴー・セット・ア・ウォッチマン)」で、主な登場人物は「アラバマ物語」とほぼ同じ。1950年代には既に書かれていたが、昨年になって原稿が見つかった。7月14日に出版の予定だという。

 1960年7月に出版された「アラバマ物語」は大恐慌時代の米国南部における人種差別問題を描いた小説で、リー氏はこの作品でピュリツァー賞(Pulitzer Prize)を受賞した。

 同書は、米国の学校では必読書として数十年にわたって読み継がれ、海外でも40を超える言語に翻訳された。グレゴリー・ペック(Gregory Peck)が主演した映画版では、アカデミー賞主演男優賞など複数の賞を受賞している。

 新たに出版が決まった「Go Set a Watchman」は、実際には「アラバマ物語」よりも前に書かれていた。だが、リー氏は当時の編集担当者から女性主人公のスカウトが子どもだった20年前を舞台とすべきだと説得されたという。「(『Go Set a Watchman』の)スカウトが幼少期を回想する場面に触発された編集者から、子ども時代のスカウトの視点で小説を書くよう説得された。私は新米作家だったから、言われた通りにした」

「Go Set a Watchman」の原稿は長らく紛失したものと思われていたが、ハーパーコリンズによると昨年の秋になって当時の「アラバマ物語」のタイプ原稿に添付されていたものが見つかったという。

 ハーパーコリンズのジョナサン・バーナム(Jonathan Burnham)副社長は「Go Set a Watchman」の発見と出版を「文学界における画期的な出来事」と称賛し、「多くの『アラバマ物語』の読者やファンたちへ特別な贈り物となる」と述べた。

 現在、故郷のアラバマ(Alabama)州に暮らすリー氏は、これほど長い年月を経て続編が出版されることに謙虚な心もちと驚きを覚えるとのコメントを発表している。(c)AFP/Jennie MATTHEW