国際司法裁判所、クロアチアとセルビアの「大量虐殺」の訴え棄却
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【2月4日 AFP】国際司法裁判所(International Court of Justice、ICJ)は3日、クロアチアとセルビア両国が1991~95年の旧ユーゴスラビア紛争中に大量虐殺(ジェノサイド)を行ったと互いに告発していた訴訟で、双方の訴えを棄却した。両国は不本意ながらもこの歴史的な判決を受け入れ、バルカン半島(Balkans)の流血の歴史の新たな一ページをめくると約束した。
セルビアのトミスラブ・ニコリッチ(Tomislav Nikolic)大統領は、隣国同士が「恒久平和」を目指していく上でこの判決が一助となることを期待すると述べた。一方クロアチアのイボ・ヨシポビッチ(Ivo Josipovic)大統領は政治家らに対し、良好な二国間関係を築いていくため力を合わせようと呼び掛けた。
この訴訟が初めて国際法廷に持ち込まれたのは16年前。国際司法裁判所のペテル・トムカ(Peter Tomka)所長(裁判長)は、クロアチア紛争中にセルビア側が大量虐殺を行ったとするクロアチアの訴えを退けた。
さらにトムカ所長は、紛争中の最後の大きな戦闘後に約20万人のセルビア人が避難を余儀なくされたとするセルビア側の訴えも退けた。
トムカ氏は、両国とも紛争中に強制移動などの罪を犯したが、いずれも「ある集団について少なくとも部分的な根絶を意図した」と定義される大量虐殺があったとは証明されなかったと述べた。
その一方で同判事は、「本裁判所は双方に対し、そのような犯罪行為の犠牲者に対する妥当な補償の実施を視野に入れて協力を続け、ひいては地域の平和と安定を堅固にしていくよう勧奨する」と述べた。
■証明困難なジェノサイド
大量虐殺は、最も重大な国際犯罪でありながらその証明は極めて難しい。国家間の紛争を裁く国際司法裁判所が大量虐殺を認定したのは、同裁判所が活動を開始した1946年からこれまでに1度しかない。
同裁判所は2007年、ボスニア・ヘルツェゴビナのスレブレニツァ(Srebrenica)で1995年にセルビア人武装勢力がイスラム教徒の男性や少年8000人近くを殺害して集団墓地に遺棄した事件を、唯一ジェノサイドと認定している。(c)AFP/Jan HENNOP, with Calin NEACSU in Belgrade