【2月3日 AFP】米フロリダ(Florida)州で、遺伝子を組み換えた蚊を自然界に放ってデング熱を媒介する外来種のネッタイシマカを減らす英バイオテクノロジー企業「オキシテック(Oxitec)」の計画に、不安を覚えた地元住民たちが反対運動を展開している。

 オンライン署名募集サイト「Change.org」には、釣りやダイビングの名所として人気のフロリダが「突然変異の虫のための実験場」にされるのを防いで欲しいと規制当局に嘆願する署名運動が立ち上げられ、1月30日までに14万5000人以上が署名した。

 問題となっている計画は、研究室で培養した雄のネッタイシマカに、自然界に生息する雌と交尾して生まれる幼虫が成虫になる前に死ぬDNAを注入し、1週間に数回、自然界に放出するというもの。雄のネッタイシマカは人を刺すことはなく、デング熱の原因となるウイルスを媒介しているのは雌だけだ。

 オキシテックは、自社ウェブサイトで「ネッタイシマカはただの害虫ではない。デング熱やチクングニア熱など深刻な病気を拡散する」と説明。遺伝子を操作した「GM蚊」を「蚊と戦う新しい手法」として、フロリダ南部でネッタイシマカを減らすための試験導入に理解を訴えている。

 同社によると、GM蚊を利用した対策は既に英領ケイマン諸島(Cayman Islands)とブラジルで実施され、蚊の数が90%以上減少したという。

 こうした結果をもとに、フロリダキーズ蚊駆除区(Florida Keys Mosquito Control District)はオキシテックのGM蚊放出計画への協力に合意し、研究施設が建設された。計画実行には米食品医薬品局(FDA)の承認が必要だが、承認されれば数か月以内にも蚊の放出が始まる。