【2月3日 AFP】大韓航空(Korean Air)会長の長女で同社の前副社長、趙顕娥(チョ・ヒョナ、Cho Hyun-Ah)被告(40)が、自社の旅客機内で受けたサービスに激怒して離陸を遅らせたいわゆる「ナッツ事件」の公判が2日、韓国・ソウル(Seoul)の裁判所で開かれた。

 趙被告の命令で同機から降ろされたとされる乗務員責任者は、乗員らは同被告から「封建時代の奴隷」並みの扱いを受けていたと証言した。また、検察側は趙被告に対し、「真摯な反省」の様子が見られない上、事件の責任を乗員らに負わせようとしたとして、懲役3年を求刑した。

 趙被告は大韓航空の副社長だった昨年12月、米ニューヨーク(New York)発ソウル便の自社機内で、頼んでもいないマカダミアナッツを器に入れず袋のまま提供されたことに激高し、滑走路へ移動中だった機体をターミナルに引き返させてこの乗務員責任者を降ろしたとされ、国民から強い批判が集中した。同被告は航空保安法違反に加え、虚偽証言の強要と公務執行妨害の罪に問われている。

 2日の公判で証人として出廷した乗務員責任者のパク・チャンジン(Park Chang-Jin)氏は、趙被告が乗員らを「封建時代の奴隷」のように扱ったと非難し、自らの「非理性的で無分別な」行為を猛省するよう要求。パク氏は、同被告にサービスマニュアルでたたかれ、土下座して許しを請うよう要求されたと主張している。公判では「趙被告はまるで獲物を見つけた野獣のように牙をむき、大声を出して暴力をふるった。私の言うことに聞く耳は持たなかった」と証言した。

 一方の趙被告は、自らの「思慮を欠いた」行動に対しては謝罪したものの、事件の発端は乗員のサービスマニュアル違反にあったと主張。さらにパク氏に対する暴力については否定し、同氏を飛行機から降ろすという最終判断を下したのは機長だったと訴えた。また被告の弁護士は、機体を引き返させたのは滑走路に入る前だったとして、航空保安法違反には当たらないと反論した。

 さらに同日検察側は、証拠を改ざんした疑いがもたれている大韓航空幹部と、政府の捜査情報を漏えいした疑いのある運輸当局者に対しても、それぞれ懲役2年を求刑した。(c)AFP/Lim Chang-Won