ワイツゼッカー統一ドイツ初代大統領が死去、「歴史の直視」説く
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【2月1日 AFP】統一ドイツの初代大統領で、第2次世界大戦(World War II)後のドイツ国民にナチス(Nazi)の過去を直視するよう説いたリヒャルト・フォン・ワイツゼッカー(Richard von Weizsaecker)氏が1月31日、死去した。94歳だった。10年間に及ぶ大統領在任中には移民問題をはじめ政治的な難題に正面から向き合い、国内外で高い評価を得た。
ドイツの大統領は儀礼的な権限しか持たない象徴的な存在だが、時に自らの経験に根ざした数々の感動的な演説を行い「政治的な大統領」として知られた。特に、第2次世界大戦終結から40年の節目に連邦議会で行った、ドイツが敗戦した1985年5月8日を「国家社会主義という非人間的な体制から解放された日」と位置づけた演説が有名。
1920年4月15日、南西部シュツットガルト(Stuttgart)生まれ。父親は貴族で外交官を務めており、欧州各地で子ども時代を過ごした後、英オックスフォード大学(Oxford University)や仏グルノーブル(Grenoble)の大学に学んだ。38年に兵役に就き、従軍して兄の戦死を目の当たりにした。
戦後は法律や歴史を学び、複数の企業に務めたが、69年にキリスト教民主同盟(Christian Democratic Union、CDU)の連邦議会議員に初当選。81年に西ベルリン市長、84年に西ドイツ大統領に就任し、民主主義とキリスト教的価値に基づく和解と東西融和を説いた。(c)AFP/Kate Millar