ムグニヤ司令官は1980年代にレバノンで起きた欧米人の誘拐事件や、1992年にアルゼンチンでイスラエル大使館が爆破され29人が死亡した事件の首謀者だとされているほか、1983年にレバノンの首都ベイルート(Beirut)の空港にあった米海兵隊の兵舎が爆破され米兵241人が死亡した事件や、1985年にトランスワールド航空(Trans World AirlinesTWA)847便がハイジャックされ、乗客として搭乗していた米海軍のダイバー1人が死亡した事件にも関与したとされていた。

 同紙によると、暗殺を実行するには当時のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領がCIAに広範な権限を与える大統領決定(presidential finding)を出すことに加え、司法長官、国家情報長官、国家安全保障担当補佐官といった米政府高官が命令書に署名する必要もあった。

 同紙に証言した元情報当局者らは、米政府最高位の高官たちから承認を取り付けるのは「厳格かつ非情に面倒」なプロセスだったと語った。その中の一人は「(ムグニヤ司令官)が米国人に対する脅威であり続けていると示さねばならなかった」と当時を振り返った。「あくまで米国の自衛のためだという絶対的な確証がなければならない、と決められていた」

 同紙は、ムグニヤ司令官の暗殺はブッシュ政権がイラク戦争中に承認したヒズボラを対象とする一連の作戦の一つだったと伝えた。CIAは同紙に対し、この報道についてのコメントを拒否した。(c)AFP