【1月29日 AFP】「君はこの世の地獄に出会い、一人で死ぬだろう」──これはフランス政府が新たに始めた、イスラム過激派に参加しようと考えている人物の気持ちをそぐことを目指したソーシャルメディア向けキャンペーンでのメッセージの一つだ。

 ウェブサイト「www.stop-djihadisme.gouv.fr」で公開された1本目の動画は、「イスラム過激派」への勧誘役が語る典型的な約束をまず示し、その上で仏政府による正反対の観点を、はりつけされた遺体や、首のない遺体、穴に放り込まれる遺体などの映像が流れる中で見せるものだ。

 中東での紛争の映像が流れる中、テロップが表示される。

「彼らは君にこう言う。『われわれに参加して、シリアの子どもたちを助けよう』」

「だが現実には、君は民間人の大量殺害に加担することになるのだ」

 女性に向けられたメッセージもあった。

「彼らは君にこう言う。『われわれの英雄と家庭を築かないかい』」

「だが現実には、君の子どもは戦争とテロの中で育つのだ」

■「若者たちに衝撃を与え解決策を提示したい」

 このウェブサイトは、過激派による巧みな勧誘に対抗するためにフランス政府が立ち上げた。過激派の勧誘によりこの数年でシリアとイラクに数百人単位のフランス人が渡航している。

 サイトには他にも「テロリストの脅威を理解する」というコーナーや「イスラム過激派たちのプロパガンダを読み解く」コーナーもあり、専門家のインタビューや歴史的経緯の説明、詳細情報へのリンクが提供されている。

 若者向けに、過激派への傾倒を早期に見つける方法も解説されている。「距離をとるようになり、音楽を聴かなくなった友人には注意しよう」

 過激派はフランス国家を背教者とみなしているので、政府が後援するメッセージが大きな効果を発揮するかどうかは不明だ。だが、キャンペーンの立案者らは自信をのぞかせている。

「われわれはこの動画をソーシャルネットワークに広め、(過激派による)こういった呼び掛けに弱い若者たちに可能な限り届くようにする。若者たちが衝撃を受けるのを期待している」と政府の広報部主任のクリスチャン・グラベル(Christian Gravel)氏は語った。「ウェブサイトでは若者やその家族、友人たちの助けになる解決策を提示している」(c)AFP