【1月29日 AFP】土星の環の約200倍という超巨大な環を持つ太陽系外惑星が、このたび新たに見つかった。オランダと米国の天文学者らが28日、AFPに語った。観測史上初だという。

「J1407b」と命名されたこの巨大惑星の周囲には、30あまりの輪で形成された円盤が広がっている。この円盤は非常に巨大なため、もし土星の周囲にあったとしたら、夜空を独占してしまうだろうと発見者らは説明する。

 オランダ・ライデン天文台(Leiden Observatory)のマシュー・ケンワージー(Matthew Kenworthy)氏は、AFPの取材に「とても巨大になる。輪とその間の隙間を地球からたやすく確認できるだろう」と語り「満月の数倍の大きさになると思われる」と付け加えた。

 ケンワージー氏と米ロチェスター大学(University of Rochester)のエリック・ママジェック(Eric Mamajec)氏のチームは「スーパーWASP(SuperWASP)」と呼ばれる系外惑星探査プロジェクトで世界中の望遠鏡を用いて撮影された数百万個の星の画像データベースを詳細に調査した。

 太陽系以外の恒星系に存在する系外惑星は、地球からの観測では中心星の光度にみられる変化を通して特定される。中心星の光は、系外惑星が地球と中心星の間を通過する際に、通常では数時間にわたり部分的に遮られる。

 恒星「J1407」の場合、特異的で活発な光の変化が観測され、その状態が約2か月間続いた。

 J1407に関するデータは、2005年から2008年までの期間に収集された。このデータについてケンワージー氏は、「2007年のちょうど中頃に、光度曲線がおかしくなった。光が突然、明滅し始めた。これまで誰も見たことがないような、非常に奇妙な現象だった」と話す。

 この現象に研究チームは当初、途方に暮れたという。

 だが唯一の説明として、惑星周囲に間隔を開けて広がる複数の環でできた巨大円盤が、地球とJ1407の間を移動し、J1407の光を断続的に遮ったと、研究チームは最終的に結論付けた。

 今回の研究成果は、天文学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)」への掲載が承認されたとケンワージー氏は付け加えた。

 J1407bの環は、惑星から約3000万キロの距離から始まり、9000万キロの距離まで広がっている。

 また、J1407bの輪は塵(ちり)でできている可能性が高いという。J1407bは約1000度~2000度と非常に高温なため、土星のように氷でできた環は維持できないと考えられる。

 ケンワージー氏によると、J1407b自体は、太陽系最大の惑星である木星の約10~40倍の質量を持っている可能性が高いという。

 J1407とその惑星は約1600万年前に誕生したと推定される。これは、天体の年齢ではまだ生まれたばかりということになる。太陽と地球は約45億年にできたとされている。

 今回の発見は、惑星の環形成に関する理論にとって初となる直接的な証拠を提供するものだとケンワージー氏は説明する。

 広く支持されている説では、ガスと塵でできた巨大な雲が収縮して星が形成され、星の周囲には、星になれなかった残がいの物質が円盤状に取り巻くとされている。

 これが後に集まって惑星になる。惑星自体の周囲にも残がい物質の輪ができ、これが数百万年の間に凝集して衛星が形成される。

「われわれの仮説が正しく、J1407bが本当に環を持つ惑星であるとすると──われわれはこれが最善の説明と考えているが──これはその形成プロセスの初の直接証拠となる」とケンワージー氏は話している。(c)AFP/Mariette LE ROUX