【1月28日 AFP】サウジアラビアでは一昔前まで、新国王に忠誠を誓うために、砂漠の中を延々と歩いて宮殿に赴いたが、今ではツイッター(Twitter)を利用して支持表明をする国民が大勢いる。

 アブドラ・ビン・アブドルアジズ(Abdullah bin Abdulaziz)前国王が23日死去したことを受けて即位したサルマン(Salman)新国王に忠誠を誓うため、何千人もの国民が宮殿へ押し寄せた。さらに各州の宮殿で行われる伝統的な儀式に参加する人も多くいたが、特に目立ったのは、ソーシャルメディアを活用してインターネット上で新国王に忠誠を誓う人々だ。なかでもマイクロブログのツイッター(Twitter)への投稿が活発だ。

 ツイッターはサウジで人気が急上昇しており、国民の40%がツイッターユーザーだという。サウジはイスラム法の厳格な解釈を採用して統治されているが、同じようにイスラム法統治のイランとは異なり、ツイッターや交流サイトのフェイスブック(Facebook)、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)などは禁止されていない。絶対王政のサウジは検閲が非常に厳しいことで知られるが、超保守的な人々もリベラル派と同じくらい多くのツイートを投稿しており、フォロワー数が最も多いのは聖職者たちだ。

 サルマン国王もツイッターのアカウントを持っており、即位後に「神よ、我が国民のために尽くし、彼らの大志を実現し、国の安全と安定を維持するために私を助けたまえ」とツイートした。サルマン国王のフォロワー数は即位後、160万人に急増。また、ユーザーの間で「サルマン新国王に忠誠を誓う」と宣言するハッシュタグが付けられると、たちまちネット上に広まった。

 一方、人気が高まるツイッターは当局の悩みの種にもなっている。マイクロブログは検閲ではほとんど規制できないからだ。しかし、マイクロブログの投稿内容が当局に対して攻撃的で、イスラムの教えにも反するものだとみなされた場合、懲役刑を科された事例もある。

 王国の改革を求めるネットユーザーたちはツイッター上で不満の声を表明する。人気の高いもう1つのハッシュタグ「サルマン国王への要求」には、「我々は選挙によって選ばれ、立法機関として機能する諮問評議会(シューラー、Shura Council)を望む。これによって改革が成し遂げられる」といったツイートが投稿されている。(c)AFP/Wissam Keyrouz