【1月27日 AFP】フランスで夫婦が娘にチョコペーストと同じ「ヌテラ(Nutella)」と名付けたところ、からかいの対象になりかねないとして裁判所が命名を却下し改名を命じた。「ヌテラ」はヘーゼルナッツとチョコレートのスプレッドの商品名で、フランスの家庭には欠かせない人気食品だ。

 地元紙「ノールの声(La Voix du Nord)」が26日に伝えたところによると、夫婦が女児の名前を届け出たのは昨年9月だった。だが特異な名前をいぶかった登記所が地元検察に相談。「ヌテラ」の命名については家庭裁判所で審理されることとなった。検察はAFPの取材に対し、同紙の報道内容を認めている。

 裁判所は「チョコスプレッドの商品名と同じ『ヌテラ』という名前を負わせることは女児の利益に反するもので、嘲笑や陰口を招くだけだ」として、女児をヌテラと名付けることを禁じた。

 審理に夫婦は出廷しなかったため、女児は裁判所によって「エラ(Ella)」と改名された。

 同様に、女児をイチゴを意味する「フレーズ(Fraise)」と名付けようとした夫婦も、女児が笑いものにされるとして裁判所に命名を却下されている。代わりに、この女児には19世紀に流行した「フレジーヌ(Fraisine)」という名前が付けられた。

 フランスで両親が子どもの名前を自由に選べるようになったのは1993年のことだ。それでも、命名された名前を登記所がとっぴなものや子どもが嘲笑されかねないものだと判断すれば、命名に介入することがある。

 18世紀のフランスで親が子どもにつけられる名前は、聖人か有名な人物と同じものに限られていた。そうした制限も1966年にわずかに緩和され、つづりが違う名前や外国風の名前も認められるようになった。(c)AFP