【1月26日 AFP】フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島で、警察の特殊部隊と反政府イスラム系武装勢力の衝突が発生し、警官49人が死亡した。

 同島を拠点とする反政府勢力「モロ・イスラム解放戦線(Moro Islamic Liberation FrontMILF)」とフィリピン政府が、40年以上にわたった紛争の末、昨年3月に調印に至った和平合意が試されている。

 約11時間に及ぶ衝突が発生したのは、ミンダナオ島のMILFが支配するマギンダナオ(Maguindanao)州のママサパノ(Mamasapano)。25日午前3時(日本時間同日午前4時)ごろ 、停戦合意で定められているMILFとの調整なしで警官隊がママサパノに進入し、銃撃戦となった。

 26日に急きょマギンダナオ入りしたフィリピン国家警察庁のレオナルド・エスピナ(Leonardo Espina)長官は声明を発表し、警察の特殊部隊は最近フィリピン南部で起きた爆発事件の背後にいるとされる「重要度の高い標的」を追跡していたと説明した。

 一方、MILF側の和平交渉責任者、モハグハ・イクバル(Mohagher Iqbal)氏は、警察が追っていた人物のうち1人は、東南アジアのイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(Jemaah IslamiyahJI)のメンバーで米国が500万ドル(約6億円)の懸賞金をかけている「マルワン(Marwan)」ことズルキフリ・ビン・イール(Zulkifli bin Hir)容疑者だったと語っている。

 また追跡されていたもう1人は、フィリピンの反政府イスラム武装勢力「バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)」のバシット・ウスマン(Basit Usman)司令官だったとみられている。

 イクバル氏は、今回の衝突は和平プロセスの上で「大きな問題となるだろう」と述べたが、同氏、政府高官ともに停戦は保たれていると強調した。(c)AFP/Joel GUINTO