【1月25日 Relaxnews】薄暗いオーストラリアの熱帯雨林からその姿を現した、キュウリのような形をした小さな柑橘(かんきつ)類の果実が今、フランス料理界で熱い視線を集めている。

 キャビアライムとも呼ばれる「フィンガーライム」を押しつぶすと、中からは酸味のあるキャビアのような小さな粒があふれ出す。この粒をすしやかき、サーモン、サラダなどに少量を合わせれば、それだけで味にパンチをきかせることができるのだ。

「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で三つ星を獲得したシェフのアラン・パッサール(Alain Passard)氏に師事したアントワーヌ・エラ(Antoine Heerah)氏はこの果実について、「初めて食べたときには、その味に圧倒された」と述べ、「遊び心が効いていると同時に革命的」だと説明している。

 真珠のような小さな粒は口の中で転がり、そしてはじける。ライムよりも強く、レモンよりはソフトな酸味と苦みを伴った柑橘類の香りが広がる──それが、遊び心があるといわれるこの果実の特徴だ。

 エラ氏は、フィンガーライムはスイーツにも食事にも使うことができる食材だと話す。そのまま使えば、ホタテやスズキのカルパッチョに最適の薬味になる。

 また、驚くようなハイテクな調理法で知られるスペインの著名シェフ、フェラン・アドリア(Ferran Adria)氏もまた、欧州で初めて料理いフィンガーライムを使ったシェフの一人とされ、フランス発祥のケーキ「シブースト」に使うクリーム、クレーム・シブースト(creme chiboust)とフィンガーライムを使った「ライム・フローズン・パフェ」を考案した。

■供給量は限定的

 フィンガーライムのフランス国内での小売り価格は、1キロ当たり100ユーロ(約1万3000円)ほど。1個当たりではオーストラリアの倍以上となる約2ユーロ(約260円)で、世界で最も高価な柑橘類の一つとなっている。

 フランス国内での価格は、供給不足を反映したものだ。国内唯一とされている栽培農家の生産量は、年間およそ800~900キロ。フランス以外では、オーストラリアやイスラエル、米カリフォルニア(California)州で栽培が始まっているが、柑橘類の「キャビア」というその名が示す通り、流通量は現在のところ、限定されている。(c)Relaxnews/AFPBB News