【1月23日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、続投を目指しているイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が3月初旬に同国を訪問するとして議論を呼んでいる問題で、同首相との会談は拒否する意向を明らかにした。米政府報道官が22日発表した。

 バーナデット・ミーハン(Bernadette Meehan)報道官は、「長く守られてきた慣行と原則」によって大統領は選挙運動中の外国の指導者とは会談しないことになっていると述べた。

 3月17日に総選挙を控えているネタニヤフ首相をその数週間前に当たる同月初旬に米国へ招待したのは、連邦議会の主導権を握る共和党だ。同首相は上下両院の合同会議で演説することになっている。

 ネタニヤフ首相の訪米のタイミングに加え、長らく続けられてきた核協議にようやく決着の兆しが見えてきたイランの問題が同首相の演説の焦点になるとみられることにホワイトハウス(White House)は不快感を示している。オバマ大統領の側近らは、同首相の訪米がイスラエルと共和党に利用されるのではないかと警戒している。

 欧米諸国とイスラエルはこれまで、イランが核兵器開発を目指している恐れがあるとして非難してきたが、イランはこれを否定。国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国である米・露・中・英・仏にドイツを加えた6か国、いわゆる「P5+1」とイランとの核協議は難航し続けてきたが、最終的に合意に至れば、イランには発電と非軍事研究という民生利用のみに限定して核開発するという規定の順守が義務付けられることになる。

 ネタニヤフ首相は声明を発表し、この訪米をイランとイスラム過激派の脅威にどのように対処していくかについて「イスラエルの方針を伝える機会」にしたいという期待を示した。

 ホワイトハウスは同首相の訪米が報じられた当初、連絡を受けておらず外交儀礼に反すると反発していた。その24時間後になって、オバマ大統領もジョン・ケリー(John Kerry)国務長官も同首相とは会談しないと正式に発表した。(c)AFP/Andrew BEATTY