アルゼンチン大統領、検事は反政権の陰謀で「殺された」と主張
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【1月23日 AFP】アルゼンチンのクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(Cristina Fernandez de Kirchner)大統領は22日、1994年に首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)で発生したユダヤ人センター爆破事件の主任検察官が議会証言の前日に謎の死を遂げたことについて、キルチネル政権が事件の真相の隠蔽(いんぺい)に関わったように見せかける陰謀に巻き込まれて殺害されたという考えを示した。
約20年前のユダヤ人センター爆破事件の主任検察官を務めてきたアルベルト・ニスマン(Alberto Nisman)検事は18日、自宅でこめかみに銃弾を受けて死亡しているのが見つかった。翌19日には議会の公聴会で多数の死傷者を出したユダヤ人センター爆破事件への関与が取り沙汰されているイラン人当局者らをキルチネル大統領がかばっていると証言する予定だった。
ニスマン氏死亡事件の捜査担当者らは、自殺とみられるとしながらも、殺害された、あるいは「自殺させられた」可能性も排除していないと発表していた。
キルチネル大統領は突如自らのフェイスブック(Facebook)ページに、ニスマン氏は同大統領らが事件の真相の隠蔽に関わったことを公然と非難するために「利用された」後に、政府をスキャンダルに陥れるために殺されたと主張し、「自殺ではなかったと確信している」と訴えた。
さらに、「ニスマン検事の告発は政府に対する真の陰謀ではなかった。それはずっと以前に破綻していた。ニスマン氏はそのことに気付いておらず、恐らく最後まで知らなかっただろう。政府に対する真の陰謀は、ユダヤ人センター爆破事件に関与した嫌疑をかけられているイラン当局者らを保護するため大統領、外相、(大統領が率いる党派の)幹事長が事件の真相を隠そうとしたと糾弾した検事が死亡したことなのだ」という見解を示した。
キルチネル大統領は自説を裏付ける根拠を示しておらず、ニスマン検事の死の背景にいた人物は誰なのかも明らかにしていない。しかし同大統領の側近らはここ数日、最近解雇された複数の情報当局者の関与を示唆する発言を行っており、ニスマン検事に近かったとされる情報機関の長だったアントニオ・エスティウッソ(Antonio Stiusso)氏の名前も挙がっている。(c)AFP/Liliana SAMUEL