中国初の空母、政府が「代金未払い」 購入役の実業家が主張
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【1月20日 AFP】中国初の空母となった旧ソ連時代の船舶を購入した中国人男性実業家が、船の取得にかかった1億2000万ドル(約142億円)分の費用を中国政府から返金されていないと主張していることが、20日の香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)の報道で明らかになった。
男性は中国人民解放軍(PLA)所属バスケットボールチームの元選手、徐増平(Xu Zengping)氏。ウクライナとの船舶購入の交渉役として中国政府に抜擢され、マカオで「水上カジノ」に使おうとしている実業家を装って「ワリャーグ(Varyag)」号を買い取り、中国軍へ引き渡した。船舶代は2000万ドル(約24億円)だったが、中国へのえい航してくる間に費用はさらに膨らんだ。
しかしサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙のインタビューで徐氏は「わが政府からはまだ、100分(フェン、1元の100分の1)さえ受け取っていない。船をただ海軍へ引き渡しただけだ」と語った。
ワリャーグ号は数年がかりで改装された後、12年に中国初の空母「遼寧(Liaoning)」として就役。軍事力増強を押し進める中国軍にとって、象徴的な節目となった。
中国の国外投資に対する批判が高まる昨今、今回の香港紙報道から浮かび上がってくるのは、中国軍と一部の裕福な実力者との緊密な関係だ。報道では、徐氏の資金源に関する情報はほとんどなく、徐氏が不動産業と観光業を主に「香港を拠点とする」実業家で、中国軍の軍事力を拡大させたいという動機によって関わったとだけ伝えている。(c)AFP