仏風刺紙襲撃事件、陰謀説がネットで拡散
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【1月20日 AFP】1月7日のフランス・パリ(Paris)での風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社襲撃事件は情報機関による作戦か、あるいは反イスラムのたくらみか? こうしたとっぴな陰謀説が、事件から数時間も経たないうちにインターネット上に広がり始めた。
2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロの際と同様に、ネット上のうわさは、パリでの事件の最初の状況が伝えられたごく初期の段階からピークに達した。
もっとも多く話題にされたのは、シャルリー・エブド紙本社を襲撃し12人を殺害したシェリフ・クアシ(Cherif Kouachi)容疑者(32)とサイド・クアシ(Said Kouachi)容疑者(34)の兄弟が使用した車のサイドミラーの色が、途中で明らかに変ったということだ。その色は本社近くで撮影された画像では白だが、乗り捨てられた車の画像では黒に見えるという。
これに対し専門家らは、サイドミラーには光の加減で色が変化して見える、クロムメッキが施されていたためと指摘している。
陰謀説の好材料となる細かな点は他にも複数ある。例えば、置き忘れられたクアシ兄弟の一方の身分証明書。または、同紙本社襲撃から2日後に起きた、ユダヤ系食料品店での立てこもり事件で、人質4人を殺害したアメディ・クリバリ(Amedy Coulibaly)容疑者が店内で電話を使用した後、受話器を正しく戻さなかったため、警察はクリバリ容疑者の様子を知ることができたことなどだ。
一連の事件を受けパリで11日に行われた反テロへの団結を示すデモ行進の経路にさえも、それがイスラエルの国境線を反映するものだなどとして 一部の人々は怪しい意味合いが込められていると疑っている。
■退屈すぎる公式説
仏中東部のリヨン政治学院(Sciences-Po Lyon)教授で陰謀についての専門家であるエマヌエル・タイブ(Emmanuel Taieb)氏は、警察や政治家、アナリストなどによる事件の公式な見解は、多くの人々にとってあまりに退屈すぎると語った。
同氏は、「(公式な見解は)内容に乏しく、期待外れとみられている。そのため、より人々の心に訴え、不安を掻き立てるような分析が支持され、(公式見解は)無視されるか疑いを持たれてしまう」と述べている。(c)AFP/Tupac POINTU