【1月19日 AFP】カトリック教徒が人口の大半を占めるアイルランドのレオ・バラッカー(Leo Varadkar)保健相(36)が18日、同国の閣僚として初めて、同性愛者であることを公表した。アイルランドは4か月後に同性婚の是非をめぐる国民投票を控えている。

 バラッカー保健相は、エンダ・ケニー(Enda Kenny)首相率いる中道右派の与党、統一アイルランド党(Fine Gael)の次期党首候補と目されている有力政治家。公共放送RTEのインタビューで、「私は同性愛者だ。これは秘密ではないが、必ずしも誰もが知っていることではなく、私がこれまで公に話してきたことでもない」と語った。

 バラッカー氏は首都ダブリン(Dublin)出身で、父親はインド人。5月に予定されている同性婚の是非をめぐる国民投票に向けて、同性婚賛成派として運動を展開したい考えを表明し、「国民に対し正直になりたかった」と説明した。

 伝統的に保守的なアイルランドだが、1993年に同性愛は犯罪の対象から除外されており、ローマ・カトリック教会の影響もカトリック聖職者による児童への性的虐待事件の相次ぐ発覚を受けて弱まっている。

 それでも、日刊紙アイリッシュ・タイムズ(Irish Times)の政治部記者フィアック・ケリー(Fiach Kelly)氏はバラッカー氏のインタビューについて、「アイルランドの公的生活圏に大きな影響を及ぼした瞬間だ。主要閣僚が同性愛を公表するなど、10年前には考えられなかっただろう。非常に大きな出来事だ」と評した。

 世論調査では、5月の国民投票では同性婚賛成票が上回る見通しだ。アイルランドは既に2011年に、同性カップルや事実婚の異性カップルに結婚に準じた法的権利を認める制度「シビル・ユニオン」を導入している。(c)AFP