【1月18日 AFP】インドネシアで18日、違法薬物に絡んだ罪で死刑判決を言い渡された外国人5人とインドネシア人女性1人が銃殺刑に処せられた。ジョコ・ウィドド(Joko Widodo)政権下では初の死刑執行。外国人の出身国はブラジル、オランダ、ベトナム、マラウイ、ナイジェリアで、このうちブラジルやオランダなどは外交ルートなどを通じてインドネシアに強く抗議した。

 インドネシアは違法薬物を法律で厳しく取り締まっている。昨年10月に就任したジョコ大統領は改革派のイメージに反して死刑支持を明確に打ち出し、人権活動家らを落胆させている。

 検察当局の報道官はAFPに対し、6人はいずれも2000~11年に死刑判決を言い渡され、18日午前0時すぎにほぼ同時に刑を執行されたと語った。オランダ人は「エクスタシー」と呼ばれる合成麻薬の大規模生産施設を運営した罪に問われ、残る5人は違法薬物密輸に関与していた。6人は大統領に減刑を嘆願し、死刑回避に最後の望みをつないでいたものの、先月拒否されていた。


 ブラジルのジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領の報道官は、インドネシアが再三にわたってブラジルの要請を受け入れず、04年にコカイン密輸で有罪となったブラジル人の死刑を執行したことで、ルセフ大統領が「動揺し憤慨している」と述べた。また、オランダのベルト・クーンデルス(Bert Koenders)外相は、オランダ人に対する死刑執行を受けて駐インドネシア大使を一時召喚したことを明らかにするとともに、6人が死刑に処せられたことは「あまりにも痛ましい」とコメントした。

 ジョコ大統領は違法薬物絡みの死刑囚に対する強硬姿勢が際立っており、薬物のまん延でインドネシアが「緊急事態」に直面しているとの理由で減刑を認めない方針を強調している。

 インドネシア政府は08年に死刑を中断したが、13年に死刑執行を再開。ただ、昨年の執行件数はゼロだった。(c)AFP/Arlina Arshad