【1月17日 AFP】ロシアの宇宙ロケット企業エネルギア(Energia)は16日、国際宇宙ステーション(International Space StationISS)に物資を補給する米国のロケット「アンタレス(Antares)」のエンジンを供給する10億ドル(約1200億円)の契約を結んだと発表した。

 同社の声明によると、今回の契約は米航空宇宙局(NASA)と19億ドル(約2200億円)でISSに物資を運ぶ契約を結んでいる米民間企業オービタル・サイエンシズ(Orbital Sciences)にロケットのエンジン60基を提供するもの。エネルギアによると今年6月から新エンジン「RD-181」の引き渡しを始めるという。

 今回の契約は、オービタル・サイエンシズが昨年10月、エンジンの不具合で打ち上げに失敗して物資補給ミッションを当面中止した後に交わされたもの。ISS向けの大量の物資を積んだ無人補給船を載せたアンタレスは打ち上げの直後に爆発し、同社は約2億ドル(約240億円)の損害を被った。

 同社が事故後に出した声明によると、ロケット打ち上げ時にエンジン不具合の兆候が見つかり、付近住民が事故に巻き込まれるのを防ぐため打ち上げ管制担当者が意図的にロケットを爆発させたのだという。

 事故を起こしたアンタレスには、ウクライナで数十年前に設計され、ロケットエンジン開発などを手掛ける米企業エアロジェット・ロケットダイン(Aerojet Rocketdyne)が改造した「AJ-26」エンジン2基が使われていた。

 ウクライナ情勢をめぐりロシアと対立する欧米はロシアに制裁を科しているが、国際宇宙ステーションはウクライナ情勢の影響を受けずに米露が協力を続けている数少ない分野だ。(c)AFP