【1月17日 AFP】英宇宙庁(UK Space Agency)は16日、同国で作られ10年以上前に消息を絶った無人火星探査機「ビーグル2(Beagle 2)」が火星の表面で見つかったと発表した。

 米航空宇宙局(NASA)の火星探査機マーズ・リコネサンス・オービター(Mars Reconnaissance OrbiterMRO)が撮影した画像に、部分的に展開したパラシュートが付いたままのビーグル2が写っていた。

 進化論を提唱したチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)も乗った英海軍の測量船ビーグル号(HMS Beagle)にちなんで名付けられたビーグル2は、巨大な懐中時計のような形をしていて、中からソーラーパネルとロボットアーム、化学探査機器が出てくる仕組みになっており、火星着陸後に生命の痕跡を探索する予定だった。


 ビーグル2は2003年、欧州初の惑星探査ミッションとしてロシアのバイコヌール宇宙基地(Baikonur Cosmodrome)から打ち上げられた欧州宇宙機関(European Space Agency)の火星探査機マーズ・エクスプレス(Mars Express)に相乗りする形で火星に向けて出発した。

 しかし同年12月26日、マーズ・エクスプレスから切り離された後行方がわからなくなり、科学者たちは火星の大気圏内で燃え尽きたのではないかと予測していた。

 英宇宙庁のデービッド・パーカー(David Parker)長官はロンドン(London)で記者団に対し、「宇宙探査の歴史には成功と失敗があった」と語り、「火星の表面で発見されたということは、ビーグル2がこれまで考えられていたよりも成功を収めていたということで、これは欧州が火星探査を続けていく上で重要な一歩だ」と述べた。

 英宇宙庁の声明によると、ビーグル2の誘導パラシュートは探査機に付いたままだったが、メーンパラシュートは着陸予定地の火星表面のイシディス平原(Isidis Planitia)にあった。英宇宙庁は「残念ながらパラシュートが部分的な展開で終わったため、ビーグル2を再起動させてデータを回収することはできないだろう」としている。(c)AFP