【1月17日 AFP】パキスタン南部カラチ(Karachi)の仏領事館前で16日、仏風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)に抗議するデモが行われ、仏領事館に近づこうとした参加者が警察と衝突し、背中に銃弾が当たったフランス通信(Agence France-PresseAFP)のカメラマンを含む少なくとも3人が負傷した。

 このデモは同国の主要なイスラム主義政党の一つ「イスラム協会」(Jamaat-e-IslamiJI)の学生部が行ったもの。パキスタンではこの日、シャルリー・エブドがイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を掲載したことに抗議して、カラチを含む国内の数か所で金曜日の礼拝の後にイスラム主義者の団体がデモを行った。

 カラチにあるジンナー病院(Jinnah Hospital)の医師は、「病院に搬送された3人のうち2人は軽傷だが、背中を撃たれたカメラマンは重傷だ」と述べた。重傷のカメラマンはAFPのアシフ・ハサン(Asif Hassan)氏(38)。

 医師は「銃弾は肺に当たり、胸を突き抜けた。重傷だが危険な状態は脱しており、同僚と話もしている」と語り、AFPのカメラマンに当たったのは実弾のようだと述べた。他2人の負傷者は警察官と地元テレビ局のカメラマンで、手当てを受けた後、既に病院を出たという。

 警察幹部はAFPの取材に対し、カラチ南部にある仏領事館に接近しようとした約350人のデモ隊を警察が阻止したところ、デモ隊が発砲を始めたと述べた。警察側はデモ隊を排除するため催涙弾と高圧放水銃を使用したという。警察は、ハサン氏とテレビ局カメラマンは故意に狙われたわけではなく、デモ隊が警察に向けて撃った流れ弾に当たったとしている。

 現場にいた目撃者も警察と同様の証言をしているが、イスラム協会のハフィズ・ビラル・ラムザン(Hafiz Bilal Ramzan)学生部長は「デモの際にアシフ・ハサンを含む負傷者が出たのは警察の責任だ」と述べて警察を非難した。

 デモ前日の15日には、パキスタンのナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)首相が、先週仏パリ(Paris)の本社が銃などで武装したイスラム主義者に襲撃され12人が殺害されたシャルリー・エブドを議会で非難していた。(c)AFP