児童書に「ブタ」使用は侮辱的?英大出版局の禁止通達に批判
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【1月16日 AFP】英オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)が作家向けのガイドラインの中で、ユダヤ教徒やイスラム教徒らを不快にさせる恐れがあるとして、海外で発売される児童書ではブタやソーセージなどの言葉を用いないようにと警告していたことが明らかになり、批判を浴びている。
このガイドラインの存在は、仏パリ(Paris)で起きた風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社襲撃事件を受けてBBCラジオ4(BBC Radio 4)で放送された言論の自由をめぐる討論中に明らかになった。
番組では司会役のジム・ノーティー(Jim Naughtie)氏が、「ブタとソーセージ、その他にも豚肉とみなされるもの」に著作で言及しないよう警告するオックスフォード大学出版局から作家宛ての手紙を読み上げた。
オックスフォード大学出版広報はAFPの取材に、「ブタや豚肉製品の禁止」は全ての出版物に適用するものではないと強調したうえで、「特定の書籍市場では読者の感情を害しかねない分野があり、それについて作家たちに助言している。この中には、重要な助言としてブタのイメージ使用に関するものも含まれる」と付け加えた。
だが、このガイダンスに英国では怒りが巻き起こっている。なにしろ英国の子どもたちの間では、ブタが主人公のテレビアニメ『ペッパピッグ(Peppa the Pig、ブタのペッパ)』が大人気なのだ。
保守党のフィリップ・デービーズ(Philip Davies)議員は「いったい誰が『ブタ』や『ポーク』などの言葉を不快と感じるのか」 と発言。イスラム教徒のハリド・マフムード(Khalid Mahmood)議員も「まったくばかげている」と批判した。
英国のユダヤ人コミュニティー団体「Jewish Leadership Council」も、ユダヤ教が禁じているのは豚肉を食すことであり、ブタという言葉やブタをイメージした生き物を禁じてはいないと語っている。(c)AFP