【1月16日 AFP】デジタル技術の使用は、ストレスの直接的な原因にはならないが、ソーシャルメディアは友人や家族が直面している問題への認識を高める可能性があり、これによるストレスは「人から人へ伝染する」との報告書が15日、米研究チームにより発表された。

 米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)と米ラトガース大学(Rutgers University)の共同研究チームがまとめた報告書は、一部のソーシャルネットワーク利用者が直面するストレスについて「思いやりの代償」に関連していると結論付けている。

 報告書執筆者の一人で、ラトガース大の研究者のキース・ハンプトン(Keith Hampton)氏は「デジタル技術をあまり、もしくは全く利用しない人に比べて、ソーシャルメディア利用者が多くのストレスを感じているという証拠は、われわれのデータには存在しない」と話す。

 同氏によると、交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)やマイクロブログのツイッター(Twitter)などのソーシャルメディアネットワークにかかり切りになることからストレスが生じるとの考えを裏付けるデータは存在しないという。

 だがハンプトン氏は「他の人々の生活で起きた望ましくない出来事について知ったり、気付いたりすることで、自分自身も大きなストレスを感じることになる。思いやりの代償に関するこの発見は、ストレスが伝染する可能性が存在することの新たな証拠となる」と指摘した。

 報告書で研究チームは、インターネットやソーシャルメディアを頻繁に利用する人のストレスレベルが一般より高いわけではないこと、そしてツイッター、電子メール、携帯電話の画像共有サービスを利用する多くの人がストレスレベルが低いと報告していることを明らかにしている。

 ただ、ソーシャルメディアの使用がストレスにどれほどの影響を及ぼすかについては、ある程度の性差が存在する。

 研究チームは、「ソーシャルメディア、携帯電話、インターネットなどを利用する男性と、これらの技術を使用しない男性とでは、ストレスレベルに統計的差異はなかった」と記している。一方で「ツイッターを1日に数回利用し、電子メールを1日に25通送受信し、携帯電話を介して1日に2枚のデジタル画像を共有する女性は、これらの技術を全く使用しない女性に比べて、ストレス尺度のスコアが21%低かった」と説明している。