【1月14日 AFP】シルバン・フロベール(Sylvain Frobert)さん(33)は、ネットに掲載された「ブロンド、筋肉質で血統も抜群」というプロフィールに目を留め、バリトンと言う名の彼をアニータかアンリエットと会わせたらどうだろう、と考えた。いや、デジレとも相性がいいかもしれない。もしかしたら、皆一緒に…というのもありかも?

 フロベールさんは人間の男女の仲を取り持つ仲介役ではなく、フランス中北部サンプリ(Saint-Prix)でシャロレー種の肉牛160頭を飼育している畜産農家だ。優れた牛を増やすため、良い遺伝子を持つ牛と交配させることが必要なのである。

 自分にふさわしいパートナーを必死に探す人たちと同じくフロベールさんもインターネットに頼るようになった。牛の繁殖相手を見つけるためのサイト「trouverlebontaureau.com (理想の雄牛を見つける、の意)」には、交配候補として何百頭もの牛のプロフィールがずらりと並ぶ。

 フロベールさんのような畜産農家や酪農家は、通常の交際相手探しサイトのようにも見えるこのウェブサイトにログインし、筋肉が形作る曲線美に感嘆しつつ牛たちの詳しい血統を調べて、自分の牛の交配相手を決めるという極めて重要な決断を下すことができる。

「理想が高い雌牛たちのお相手がここに!」と、通常の交際相手探しサイトと似たキャッチフレーズを掲げるこのウェブサイトは2014年10月に同国で行われた農業サミットの場で交配団体によってローンチされた。繁殖農家は、雌牛の年齢、品種の他、乳質、成長しやすさ、筋肉の発達、出産能力など、交配を通じて改善させたい点を詳しく指定できる。

 そうするとスクリーンには雄牛の写真が次々と表示される。筋骨たくましいフランス育ちの雄牛たちの中からどれを選ぶのか。これが一番の難問だ。